11.好奇心が作る人生
彩り豊かな世界
前のページでは、好奇心と人の存在価値との関係について述べた。このページでは、サイトのまとめとして、好奇心を発揮する人生の意義について述べたい。人は好奇心に突き動かされて行動し、自分が認識する世界を広げる。この過程は、単に未知のもの発見することではない。
発見するのは自分の内面にある価値観の具体的な姿だ。あなたが認識する身の回りの世界は全て、あなたの価値観と結びついている。あなたが価値を感じないものは、実在しても、あなたにとっては存在しないに等しい、認識できない対象なのだ。
好奇心を高める活動は、あなたが未知の対象に触れ、その価値を認識し、自らの価値観を拡大・変化させてゆくものだ。この価値観の変化こそ、人の成長そのものである。そして、あなたが認識する価値の総計が、あなたが築き上げてきた人生の価値になるのだ。
好奇心を高め、認識する世界が広がると、やがて他人が認識する世界とも相互作用するようになる。互いに存在価値を認め合い、その価値が高まることを期待し合う。そして、互いに相手の価値を高めるサポートをし合いながら、それぞれの人生の価値を高めてゆく。
好奇心は、例えるなら暗闇を照らす光のような存在だ。私たちは夜道を歩いていて、多くのものが暗闇に隠されている。価値を認めた対象だけが街灯に照らされて見えている。
世界を認識し始めた幼い子供には、その意味は理解できなくても、触れるもの全てがとてつもない価値を持っていて、まぶしい太陽の光で色鮮やかに輝いて見えている。私たちにも、かつてはそんな素晴らしい景色が見えていた。
やがて、人は歳をとり、好奇心を衰えさせてしまう。そして、自分が認識する世界を闇に閉ざしてしまう。せっかくこの世に生まれてきたのに、身の回りに存在する様々な面白いものを知ったり、体験せずに、その価値を知らぬまま人生を終えてゆくのは非常にもったいないことだ。
私たちは、好奇心を高め、再び闇を光で照らすことができる。そして、大人になったからこそ、光に照らし出されるものの価値や意義をよく理解することができる。
好奇心を高める意識を持った行動が、幼い頃に見ていた景色以上の彩り豊かな世界に、あなたの生活を変えてくれる。そして好奇心は、あなたを成長させ、人生を自ら作り上げる自信をあなたに与えてくれる。人生の価値を高める唯一の、そして誰もが持っている道具、それが好奇心だ。
あとがき
このサイトは、著者が、人を特定の活動に没頭させる動機に興味を持ち、没頭できるような楽しい活動を生活に取り入れる方法を考え、文章にまとめたものだ。著者自身も、かつて開発エンジニアとして、発明実験に長年没頭した経験を持つ。その体験を踏まえて様々な考察を行った。
人を没頭させる動機が好奇心であることは、実感としてすぐに思い当たった。考察の大部分は、好奇心を生み出す源泉は何か、歳をとるにつれて好奇心が減退してゆくのはなぜか、減退した好奇心を再び高めることができるのかといった点に費やした。
結論として言えるのは、自分が普段興味を持っていることしっかり認識し、それを起点に想像を広げさえすれば、自然と好奇心は高めていけるということだ。ただし、想像を広げる起点になる関心事を認識することが難しい。
人は普段の生活の中で様々な対象に触れていて、その場では強い興味・関心を示している。ただし、日々触れる情報が多過ぎて、個別の対象を一々記憶に留めていない。このため、自分が何に興味・関心を持っているのか、とっさには思い浮かばないのだ。
認識できていない自分の関心事を、サイトの中で示した幾つかの視点で振り返り、具体的に認識することで、想像を広げる起点を作ることができる。その起点から将来の自分の生活に結びつく想像を広げ始めれば、あとは勝手に考え、行動する、好奇心が高まったモードに突入する。
好奇心はどんな人にも元々備わっている脳の機能だ。ただ、しっかりスイッチを押さないと、機能が発動しないのだ。
この世にはあなたにとって未知の対象は無数に存在し、生きている間にそれらすべてに触れることはできない。それゆえに、あなたが興味を向けるべき対象が無くなる心配はない。あなたは、一生を通じて自分が認識できる世界の広げ、成長の喜びを感じ続けることができる。
このサイトをご覧になった全ての人が、自らが持つ好奇心を発揮して、価値あるものに囲まれた彩り豊かな生活を手に入れることを願いつつ、文章を閉じたい。